インフレの心配はしない

2019年2月2日

リタイア資金計画においては、インフレを考慮して試算することが是とされている。

だがしかし、インフレ率と正面から向き合いまともに見積もった結果、FIREが遅くなったとしたらどうだろうか? 

インフレへの十分な備えが完了するのが60歳です、なんてことになったら、本末転倒なんじゃないですかと。

インフレ率2%だと30年後の世界は物価2倍

インフレを重視する世界観では、物価が2倍になったなら、収入も2倍なければ生活レベルが維持できないというロジックが成り立つ。従って、資産切り崩し計算エクセル表の年間支出額を2%インフレさせなければならない。例えば46歳でFIREして以後年間支出を340万円程度の生活レベルで暮らそうと思ったら、70歳では年間支出550万円を見積もらねばならない。

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こんな試算じゃ将来が不安で、いつまでも蓄財が終わらずそのうち人生が終了しやしませんかね?

将来に備えすぎて、亡くなるときに資産額が最大になるのが日本のお年寄りである。
そういう結末になると辛いので、ブログ主はFIRE試算に際してインフレを一切考慮しないことに決めた。
で、ただ単にインフレから目を背ければ良いのかというと、そうではない。
インフレの心配はしないが、心構えだけは持っておくと。
そのために本エントリでは、インフレがなぜFIREの邪魔にならないのかを浅く考察し、ブログ主の勝手理論を展開しておく。
なお目的は、あくまでもブログ主自身が気分よくFIREするための気の持ちようの改善であり、端的に言って精神論である。

CPI 消費者物価指数はずっと横這い

まず実感として、ここ20年ほどで国内における現金の価値はそれほど変わっていない気がする。100円で買えるもの、1000円、10000円、10万円で買えるもの・・・・の脳内カタログは全く変化していない。つまり桁ハズレな物価上昇はしていない感覚があります。

200x年日本国破綻とか、ハイパーインフレがくるだとか煽っていた方々は、いまどうしてるんでしょうかね?破綻本でさぞかし儲けたのでしょうから、自分らの資産額がハイパーインフレしてるんじゃないですかね(笑)

さて、CPI指標はここ20年間横這いであるので、物価は変わってないなぁという肌感覚は裏付けのあるものだと言えよう。

ただまあ、明らかにガッツリ高くなったものもあって、灯油の価格は30年前(1989)は18L 600~800円だったのが、先週の店頭小売価格は1500円程度で、2倍になっている。小型車価格も150万円程度だったのが300万円になっているので、倍になっている。
けれどもたまにしか買わないものは生活への影響度も低いものだから、値段が2倍になったからといって直ちに困窮するものでもない。これはCPIの算出過程でも調整されているということだ。

蛇足

自動車の価格高騰に関してひとこと書いておく

ブログ主は学生時代に(R32)GTRの購入を夢見ており「働いたら逼迫ローンでGTR買っちゃうぞー」などと嘯いていたものだが、いざ中年になってみるとまさかの1000万円超となっている。

GT-Rは、清々しいほどまったく庶民の買える車ではなくなってしまった。

車に1000万出すならJTとキヤノンとトヨタと適当なリートでも買いますがな。配当で冬場に毎週、寒ブリやらあんこう鍋をつつきながら14代(安めのやつ)をちびちびやってもおつりが来ますし、GTRで湾岸線をぶっ飛ばして面パトに捕らえられるよりも間違いなく満足度が高いというものである。

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インフレが進んでも”チープシフト”すれば問題ない

かようなCPIトレンドに加えて、人口減少、供給過剰化する世界情勢などの観点でもインフレ要素が見当たらないように思える。

もちろん、理屈はともかく破綻本の言うようなひどいインフレになる可能性もなきにしもあらずだが、そもそも現代日本の経済規模でそんなインフレを発生させた場合には世界経済もどうにかなってしまうわけでありサラリーマン上がりのFIRE資金など雲散霧消するは必定であるから、これも考えるだけ無駄なことだ。

ということで、本稿の目的である「インフレへの心構え」としては、ハイパーインフレは考慮せず、通常の経済成長レベルのインフレ、マイルドインフレだけを対象とする。

では、具体的にはマイルドインフレに対して、資産防衛サイドでどんな対処ができるかというと、タンス預金はやめて投資しましょう、などという話しか思いつかないので、こっち(資産防衛サイド)は攻めません。

じゃ攻めるのは支出コントロールサイドだということで、

マイルドインフレには、チープシフトで対処するので問題ないのだ、

と主張しておきます。
チープシフトとは、字面そのままで、支出の絶対値が増えないようにあらゆる消費を安物にシフトするということである。車の値段が2倍になったのならセレナをやめてNBOXにすれば良いし、旅行代が2倍になったのなら回数を半分にすればよい。

近頃は、菓子類などが容量減らしてお値段据え置きで、庶民のチープシフトを強力にアシストしてくれているわけで、企業のお墨付きの戦略だとも言えますよね。

そのうち、ポテトチップス88円で買ってきて、開けたらポテトが10枚程度しか入ってないなんていう驚愕の時代が到来するかもしれません(笑)。
いずれにせよ、この当たり前の消費防衛行動であるチープシフトを考慮せずに、予想インフレ率2%などと置いて蓄財が追い付かず消耗したりするのは、取り越し苦労なんじゃないですかね?予想インフレ率を0%として5年早くFIRE出来るなら、そっちのほうが良いです。

奥さん:「インフレ語る前に、ネット通販で買ったチープかつ使わない大量のガラクタ片づけてくれる?」